展開が気になっちゃうから、よっぽどお気に入りでない限り、ある程度まとめて観ることが多い自分が、今季唯一、毎週追うように観ています。吸死以来です。
何となく観始めた1話でしたが、しっかり魅了されてしまいました…!
まだ全体の半分行ってないくらいですが、一度思いの丈を、だらだら語らせていただきます。
※ネタバレと言うほどのネタバレはありませんが、本編の部分的なところにも触れますので、ご覧になっていない方はお気を付けて。
強烈すぎるブラック
2次元3次元問わず、ブラック企業の描写が多い昨今だけれど、負けず劣らずの鬼畜っぷり。
どちらかと言うと可愛らしい、それこそ、日曜5時に合う系統のキャラデザなのに、子供に見せてエエんかと心配するほどの、超ド級の鬼畜でした。
(本気で広告会社(だったよね?)勤めたいと思っていた子のメンタルが心配。ま、いねぇか)
明るくて前向きでド根性で、どんな逆境も吹き飛ばしそうな「ザ・主人公!」な主人公が、確実にメンタルを削られて、輝きを失っていく様が、観てるだけでなかなかキツい。名前「輝」なのに…。
しかも、これが決して過剰表現ではないらしい=一部ではリアルにこんな感じだという話も聞くから、恐怖。(自分はこの業界の者でもないし、知り合いもいないので、SNS上での又聞きですが)
しかも、それだけでもキツいのに、好きな女の子が社長の愛人って…。日5だから、“愛人”でぼかされた感じだったけれど、えっと、あの、“不倫”ってこと…だよね…?
「既婚者でした」の5倍キツい。
特に、こういう、倫理的に曲がったことを「しょうがない」「俺には関係ない」で割り切れないタイプであろう輝だから、余計刺さっちゃっただろうなぁ。だからって、「そういうの止めなよ!」って言えるほど(この段階では)図々しい性格でもないし…。
ほんと、改めて考えても、ド直球の「地獄」を見せられたなと、その表現力にもはや感動すらする。
「過剰表現だ」と言われればそうかもしれないけれど、この後の展開を思えば、落差は大きい方が面白いし、何より、「過剰」こそが2次元での創作における醍醐味だと自分は思っているので、導入としてとても良かった。
唯一無二の「ゾンビモノ」異端児
そんな地上の地獄を生き、「ゾンビが出てきたら、会社行かなくていいのに」なんて言っていた輝の世界に、マジでゾンビが出てきちゃうことで、物語の「起」が炸裂するわけだけれども。
これ、本当にすごい。この設定。
何してたらこんな設定思いつくの…?!
(作者が輝と全く同じ経験をしてた、くらいしか思いつかないのだけれど、それはそれで心配になる。幸せであってください)
これまで、ゾンビモノと言えば、
「平凡な日常にゾンビが現れて、世の中大パニック!主人公は大事な人を守り抜き、生き残れるのか?!」
が定説だった。
要は、ゾンビモノである以上、世界設定や展開に差はあれど、主軸はほぼ一緒で、カテゴリーとしても「スリラー」や「ホラー」に入れられるのが当たり前だった。画面に映るのは、恐怖に慄く表情、悲鳴、大切な人を失った嗚咽、明日の見えない絶望、などなど。
それを、根本から蹴り飛ばすことを始まりとしたのが、本作だった。
いや、見たことないよ、ゾンビが出てきたことで生き生きし出す主人公なんて…!
何がすごいって、彼は純粋に人生の喜びを感じている。
別に彼は、闇堕ちして悪に手を染めて、ゾンビを使って世界を破壊してしまおうと目論んでいるわけではないし、メンタルが限界を迎えてトチ狂って、正常な判断ができなくなっているわけでもない。
彼は本当に、ただただ、ゾンビの現れた世界に、自分の未来を見ている。それも、かなり明るい未来を。
音声や脚本での表現も素晴らしかったけれど、画での演出がさすがだった。
それこそ、ゾンビモノって、画面が暗くて彩度が低くて、街に靄みたいなのがかかってるイメージが強いのだけれど、本作はその真逆。
「ゾンビだ、やったー!」の瞬間に、青々とした空は光り輝くし、身の回りのものや建物、果てにはゾンビそのものまで、原色ほどの鮮やかさで色付けがされている。
(この色使いについては、時間帯故の表現の制限のために、血の代わりで、色とりどりに描かれているのかもしれないけれど、むしろこれでいいと、個人的には思う。輝にはこう見えているのかもしれない、という意味で。
もしこれが深夜放送だったら、容赦なく真っ赤にされているかもしれないけれど、そうなるとちょっとグロの印象が強すぎて、ここまで自分に響かなかったんじゃないかとさえ思う)
冒頭からあった、映画のような上下の黒い縁が一気に無くなるのも、輝の視界がぱっと開けたことを表しているかのようだった。
単純に作画が素晴らしいというのも相まって、最近見た中でも屈指の、輝かしいシーンだったと思う。
それにしても、
「ゾンビだー!ウワー!どうしよう!死ぬ!!!」
よりも、
「じゃあ会社行かなくていいんじゃん!わーーーーーーい!!!!」
が勝つってさァ…ますますブラック企業というものが恐ろしい。
人間のいちばんの脅威って、やっぱり人間なんだなということを、しみじみと感じさせられました…。
良質の古川ケンチョ
(※偏ったファン目線入ります)
そもそも、タイトルは聞いていたけれど、あらすじすら読んでいなかった自分が、本作を観ようと思ったきっかけが、「古川慎が出るから」だった。
ええ、それはもう。だって好きだもん、古川慎さん。
1話、2話と登場せず、「今回のCV. 古川慎はどんな感じかな〜」と、あえて予習も何もせずに3話に到達した時の感想。
「良質~~~~~」
某ロナルドくんのせいお陰で、自分の中に、すっかり脳筋のイメージがついてしまったのだけれど、ロナくんより1.5倍くらいの脳筋だった。
でもロナくんもケンチョも、脳筋なんだけれど、体育会系あるあるの押しつけがましさみたいなのが一切なくて、温かみすらあるから本当に好き。
おそらく、作品世界の基準でもイケメンの部類で、性格も良いしそれなりにモテそうなのに、びっくりするぐらい脱ぐ。最近のギャグアニメでも、ここまで脱ぐのあったっけってくらい脱ぐ。
それこそ、ヒステリー集団PTAに目を付けられそうな日5枠なのに、思い切ったなぁ。でも彼の脱ぎシーン描くの、バカバカしくて楽しいだろうなぁとも思ったり。
と言うかむしろ、日5のターゲット層こういうの好きなのでは?小学生男子のヒーローになれそうだぞ、ケンチョ。
(そのくせ、別に普段から「女の子大好き」ってキャラでもないのに、出会えばしっかりちゃっかりいい思いしてる辺り、やっぱモテるんやな…腹立つわぁ)
現代社会への痛烈なアンチテーゼ
「これ日5でやって大丈夫?」と、毎話毎話心配されているけれど、個人的には、日5だからこそ意味があるように感じる。
より多くの人が観るべき作品だと思うからだ。
物語が進む度、何か事件が起きる度、「何て明るい皮肉なんだろう」と感じる。
「会社行くくらいなら、ゾンビに喰われた方がマシ」という考えも、
それでも朝になれば、黙って会社へ行くことも、
リスク云々のみで物事をジャッジすることも、
「やるべきこと」の取捨選択に追われ、「やりたいこと」は考えもしないことも、
自尊心から虚勢を張って、後々それが何の役にも立たないことも、
全部、すぐその辺に転がっていそうなことばかりだ。
物語は、このすべてをなぎ倒していく。
「やりたいこと全部やる!」
この一言で。
そして、この一言がちゃんと言える、そして実行できる人は、現実にはかなり少ない。
もちろん、これは2次元だしアニメだし、
現実にはゾンビなんてしばらく出てこないだろうから、「やりたいこと全部やる」ための条件は、この物語よりかなり多いし厳しい。
ただ、全部とは言わずとも、「やりたいことをちゃんとやる」ことは、誰にだってできるんじゃないだろうか。
日曜5時、正に、
「あーあ、週末終わっちゃった~」
「また明日から学校/仕事かぁ、やだなぁ~」
という気持ちが、胸の中で雲のように膨らむ時間帯に、老若男女問わず、
「もっと見方を変えてみたらどうかな!」
と、背中を押してくれる、と同時に、
「どんな時でも、“やりたいこと”を忘れちゃだめだ!」
「誰だって何だってやっていいんだ!」
と、心の支えになってくれるような、そんなアニメだと感じた。
ぶっ飛んだ設定ながら、根底にあることはいたって平凡で現実的だからこそ、いろんな世代の人に見てほしいし、いろんな人が楽しめる作品だと思う。
(防刃スーツの発想、何気にすごいと思った。確かに、サメの刃が防げるなら、人間だってある程度大丈夫だろうな。痛いけど)
続きを楽しみに、原作も実写映画も見ずにいるけれど、
物語の明確なゴールがわからないので、次は何が起きるのか全く予想できず、今度は輝がどんな「楽しい」を見せてくれるんだろうと、毎週わくわくしております。
というわけで、また次の日曜日、6話全力待機中。
右下のブロンドガールの登場が楽しみです!
ところで。
OPで前回本編が使われていること、5話が飛んでしまったこと、などで、制作現場がかなり心配されているけれど。
個人的には、このクオリティを(ある程度出来上がっているとはいえ)1週間で修正して調整して確認して精査して…ってかなりハードだと思うので、
いっそ全部隔週放送でもいいから(さすがに現実的ではないだろうけれど希望として、ね)、無理なくやってほしい…頑張ってぇ…。