日常/非日常

びっくりするほど雑食

「サイコだけど大丈夫」感想(前編)

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遂に、観ました。

 

名作だという話は十分に聞いていて、「いやこんなん、ハマらんわけない」ということも十分にわかっていたのだけれど、

テーマがテーマなだけにちょっと怖かったのと、単純にヒロインが好きになれるか不安だったのもあり、ずっと観られないでいた。

のだけれど、何か突然スイッチ入って観ました。

 

結果、名作でした。

 

元々話長くなるヲタク気質なのに、いつにも増して文量が凄まじくなってしまったので、

軽めの前編、重め?の後編で、2回に分けようと思います。

それでも1回が長いです。

 

※なるべくネタバレは避けますが、完全回避は出来ませんので、お気を付けて。

 

 

キム・スヒョン氏 芝居巧すぎ問題

この作品の前だと、自分は、「星から来たあなた」をチラ見した程度なので、

キム・スヒョンさん、ほぼ初めましてレベル。

でもこの1回でわかった。

この人、すごい。

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もちろん、「キャラクターが合っている」というのも勝因だけれど、何と言うかこれは、「合っている」だけでは済まない気がする。

「合っている」どころじゃない。

「そのもの」。

1話だけでもそう感じるほどでした。

 

患者さんや兄さんにかける優しい声がほーんとに優しいし、春の陽射しみたいに微笑むし。

…なんだけれど、そんな自分を、本心では全然納得できていないのがよくわかる。心の芯はカチコチに固まっているのが、よーくわかる。

反面、後半になって、ひたすた抑えていた「子供のまま」の部分が出てくると、本当に少年みたいな笑顔を見せたり、本心のままにむすっと嫉妬したり。

ガンテはそういう、絶妙な表情や感情表現が多かったと思うのだけれど、どれも「やってる」感が一切なくて、ものすごく自然だった。

 

キム・スヒョンさん、一気に好き俳優さんになりました。

これからの新作の中で、「涙の女王」がいちばん面白そうだなーと思っていたけれど、俄然楽しみになりました。

しかもお相手がキム・ジウォンちゃん!しかも夫婦!楽しみすぎ。

 

それにしても、ピョルクデと言い、今作と言い、

厄介な女に異様に懐かれる星の下に生まれたのか?マジお疲れ様です。

でも幸せなら、オッケーです。

 

ところで、自分は海外作品は、国を問わず専ら字幕派なんだけれど、

彼(特にこの役)の吹き替えが小林親弘さんなのは、めっちゃ「ああ〜〜〜」した。わかる。

 

 

「ギリギリ」のヒロイン

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そう、あなた。

自分の視聴意欲をずっとぐらつかせていたのは、あなたです。

やっぱり、メインキャラクターを好きになれるかどうかは、継続して観られるかどうかに直結すると思う。

「共感できない」だけならまだしも、一度「嫌い」になってしまうと、映るだけでもやもやするし、どんなに本筋が面白くても耐えられない。

彼女はそれになってしまう匂いがぷんぷんした。

 

のだけれど。

お、お、お、おま〜〜〜〜〜!!!!!

このド真ん中ヒロインめ!!!!!!!!

 

思いっ切りぶち抜かれてしまったのが、7話ラストのここ。

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ここの、びっくり顔から微笑みへの変化が秀逸すぎた。

変化がものすごーーーーーーく微妙で、ほんとに少しだけ、口の端が動いたかな?みたいな、アハ体験もびっくりな微細な変化なのだけれど、

今までのどこの場面よりも、美しくて優しい顔をしている。いや、こんなん観ててときめかない視聴者いるの???

個人的には、ガンテに本当に惹かれるようになったのも、ここなんじゃないかなと思ったりする。

それまでも好きだなんだ言うてたけれど、ちょっと上っ面感というか、身体の芯から「好き」を実感してはいない感じがあったし。

 

そして中盤以降は、最初の頃からは想像もできないような、お目々三日月になるくらいの笑顔をいっぱい見せるもんだから、

思わず「かっ、可愛い…」って声出たよ、チキショー。可愛いです。

 

とにかくキャスティングが大正解。

あの低い声も、ちょっと肉感漂わせてくる感じも、コ・ムニョンというキャラクターの立体感を増し増しにしていたと思う。

 

そんでファッションも、ンま〜〜〜楽しい!最高!目が楽しい!

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(この2着がいちばん好き)

そしてプロポーションが2次元。常にウエストが行方不明。

ガンテが頬に手を添えた時、思わず、「顔ちっっっっっっっさ!!!!!」って声出た。ガンテもちっっっっっっさいけど。

 

ンま〜〜〜ソ・イェジさんご本人に関しては、いろいろあったみたいだけれど…。

コ・ムニョンには何の罪もないし、ドラマの放送自体に悪影響がなかったことを安堵するばかりです。

(推しが激務で撮った初ドラマ・初主演作が、相手役の黒い噂でおじゃんになりかけた、というかほぼなったようなもん、なヲタクより)

 

 

兄は強し

何を置いてもやっぱり、兄さんでしょう。

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いや〜〜〜〜素晴らしかった。素晴らしかったとしか言いようがない。

助演男優賞でしたよね、確か。素晴らしかったです。

 

正直、この作品の出来は、「兄さん」から直結していたと思う。

いくらキム・スヒョンが巧くても、ソ・イェジがぴったりでも、「兄さん」がイマイチだったら全部台無し。下手な感動の押し売りみたいになりかねない。

かと言って、彼だけが飛び抜けていてもいけない。

この作品は、言うたら、「騎手も馬も最強の騎馬戦」って感じ。騎手は戦闘力高いし、馬は上で何が起きても絶対ぐらつかない屈強さだし。そりゃ負けへんわ。

 

こういうデリケートな特徴のあるキャラクターって、やろうと思うと結構躊躇すると思うし、怖い部分の方が大きいと思うんだけれど(確か、パク・ウンビンさんもそういう理由で、「ウ・ヨンウ」のオファーを何度か断っていたとか)

かと言って、行き過ぎたリスペクトみたいなものを盛り込まれるのも、ちょっと違うなと感じてしまう。

オ・ジョンセさんのサンテは、そこが良かった。

両方の意味で、やりすぎていなかったと思う。

 

やっぱり前半の方は、視聴者としても「兄さんを守ってあげなきゃ」と思ったし、ガンテが何かを行動する時に、「兄さんは?兄さんはどうするの?」と気になってしまった。

けれど後半、「3人家族」になってからの兄さんは、誰よりも強かった。

もうそんな心配をする必要はなかったし、ガンテが苦しんでいると、「いや、兄さんが決めてくれるな、ここは」という確かな安心感すらあった。

 

 

温かみ満点のサブキャラたち

他の作品と比べると、やや弱い感じもしたけれど、決して比重が軽いわけではなく、良い意味で「サブ」に徹してくれていたと思う。

 

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ジェスヤ〜〜〜〜〜(滝涙)

良いヤツすぎるよ、ジェスヤ…!

彼は一体何なんでしょう…。ちょっと不思議なくらいムン兄弟の傍に着いていてくれるし、それでいて出しゃばりすぎることもないし、「優しい」だけで片付けるには優しすぎるよ、ジェスヤ…!

3人と同じくらい、あなたの幸せを願っています。幸せになれ。

 

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ちょっと幸薄そうなお顔が絶妙な2番手感で、初見から「あぁ…かわいそうに…」と思ってしまった、ジュリ

その顔で、たまに影なんか見せるもんだから、まさかまさかの黒幕…?とか思ったりしたけど、普通に幸薄いだけの子だった(失礼)

いやたぶん、彼女にはガンテは重すぎるんだと思う。彼女がすごく真面目だから。真面目で優しいから、きっと全部分かち合おうとするし、背負ってあげようとする。でもそれだといつか、彼女自身が壊れてしまう

だからこそ、「とりあえずやる!突き進む!泥水?いいでしょう!飲みます!!!」みたいなイ代表の方が、きっと彼女には良い癒やしになるんじゃないかな。幸せになれ。

つい最近、主演作配信始まりましたね!あの「イカゲーム」の続編にも出られるみたいだし、ハッピーヒロインになれる日もそう遠くなさそう。ご活躍が楽しみです。

(ずーっと思ってたけれど、夏帆ちゃんにそっくりだよね)

 

ダメオジなのかデキオジなのか、1人でその間を行ったり来たりしてるのが面白かった、イ代表

リアルな塩梅での「悪い人じゃあないんだけどね~」という人の印象。経営者として、お金のこと、世間の目ももちろん気になるけれど、長年一緒にいたムニョンへの情も捨てきれない。

視聴者としてはちょっとモヤッとするけれど、でも実際、こうなるよね、そりゃ。

是非これからは、ジュリとおばさんの尻に敷かれていただいて。その辺ビシバシ舵取っていただけることでしょう。

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個人的には、髭ありの方が似合ってると思います。

って言うか、「別にかっこよくない」みたいな言われ方されてましたけど、十分イケオジですよね????

 

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スーパーごめんなんだけれど、作中唯一、最初から最後まで好きになれなかった、君(名前も覚えてない)

絶妙に間が悪いし、絶妙に空気が読めない。読もうという努力も感じない。

せめて、誇りをもってお仕事頑張ってる描写とかあったら、もう少し好感もてたと思うんだけれど、別にそういうワケでもなく…。パワハラ一歩手前な代表もだいぶアレだとは思うけれど…ウーン、でもこれは確かにイライラするわ。

このレベルでしか仕事出来ないのに、上司を一方的に悪く言うのも、ちょっと…自分のこと棚に上げすぎやろ。

上司が店のテーブルに何か置いて出て行ってたら、それが何かわからんくても回収するだろ、普通。何で放ってお前も出て来るんだよ…顧客の個人情報とかだったらどうするんだよ、社会人2日目か???

なーんか、ジェスとどうなるのー?みたいな空気になってたけれど、いや〜〜〜俺たちのジェス、あなたにあげるのはちょっと………。逃げろ、ジェス。

 

 

秀逸すぎるラスト

今まで観た中で、いちばん幸福で救いのあるラストだったと思う。

全部持っていかれた。文字通り、全部。

 

ここまでで「兄弟の絆」を、紆余曲折盛り込みながら、見事に描いてきた物語は、

最後の最後に、ガンテを「弟」ではなく「兄をもつ1人の人間」にしてあげることで、幕を下ろした。

それも、全く無理のない形で。

だってサンテは、自分の意志で離れたわけですし。

離れたからといって、もう前ほど心配する必要もない。ジェスも代表もいるし、おばさんもジュリもいる。彼らだって、もう立派な「家族」なんだから、家族のところへ行くことに心配なんかあるはずがない。

そこで、いちばんやりたかったこと、これからもやりたいことが出来るのだし、サンテにとっても、これはいちばんのハッピーエンドと言えると思う。

 

もう二度と会えないわけじゃないしね。

いつでも会える、だって兄弟なんだもん。

 

ガンテとムニョンにしても、良くも悪くも似た者同士なので、癒やし合いつつ、ケンカしつつ、上手くやっていけるでしょう。

全く、何の心配も感じない。

「運命」ともちょっとちがう、自分はこの2人の相性は、「傷の舐め合い」と表せると思う。

これ本来はすごく悪い意味で使われがちだけれど、自分はそんなに悪いこととは思わない。舐め合いできるほどの相手がいるって、すごいことだ。

誰にも触れられず、一生自分で舐めるしかない虚しさに比べたら、完治せずとも、必要な時に癒やし合える相手がいることは、ずっと幸運だと思う。

 

あのまま、「3人で、いつまでも幸せに暮らしました」でも十分満足だったのに、まさかそう来るとは。

びっくりしたけれど、「衝撃」よりも「納得」だったなぁ。

改めて、すごく良い畳み方だった。

 

 

 

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(このキャラクター、ティム・バートン風味でめちゃくちゃ可愛い。クレイアニメなのもすごく良い)

 

というわけで、前編はここまで。

後編は、個人的なお気持ちマシマシになると思うのでアレですが、ご興味あれば、ぜひ。

なるべく早く書けるように頑張ります。