日常/非日常

びっくりするほど雑食

「明日」第13話 感想

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レディース エーン ジェントルメーン!

ようこそ、言論の墓場へ。

 

ここは、韓国ドラマ「明日」で、日本に於いてとってもとっても大問題になった、

第13話 春

について語る場、もとい、この回への怨念が棲まう森です。

 

あくまで、件の分野の研究者でもない一般人の感想でしかないので、「考えすぎじゃない?」な部分も多々あるとは思います。すまんな、そういう性格なんや。

気に入らない部分があれば、どうぞ回れ右でお願い致します。世の中にはこんなヤツもいます。

 

また、本記事の大大大前提ですが、

これは作品そのもののストーリー展開をボロ雑巾にしてやろうという回なだけであって、

役者さん方や、本筋のストーリーの作成には無関係な分野の制作の方々に対しては、何の不満も文句もありません。

意見は言いたいだけ言いますが、悪口を言うつもりはないし、アンチは絶対にしません。

それだけは、固くお誓い申し上げます。

 

 

というわけで、

大不満ぶちまけ大会、始まるよ〜!

口悪いし、言葉も選ばないし、ネタバレも配慮しないぜ!よろしくゥ!

 

 

 

史上最強レベルの露骨さ

観る前にネットの反応を見ていて、どういう内容かも大方把握していたので、実は、特別ショックとか衝撃とか、逆に大きなガッカリとかもなかった。

それはそうなんだけれども。

 

ただ、思ってたより3倍露骨だった。

露骨すぎて、いっそ笑ってしまった。

 

以前、別のドラマで、東北地震津波映像が、コメディシーンで面白半分に使われていて、ちょっとした騒ぎになったのを覚えている方も多いだろう。

ああやって「匂わせてくる」ことは、他にも何度かあっただろうけれど、ここまで露骨なのは聞いたことがない。(※日本統治時代を主題に扱っている作品は除いて)

逆に度胸あるなぁと、感心すらする。

相当お嫌いなようで。

 

 

ムカポイント その1:作品の「利用」

正直、「慰安婦」という問題そのものに関しては、自分はちゃんと勉強できていない部分の方が多いので、あまりとやかく言うつもりはない。

あったのかなかったのか、実態がどうだったのか。延々言うてますけれど、双方譲る気は一切ないし、譲ればそれはそれで面倒なことになるし、だからもうどうせ解決しないでしょう。それくらいに思っている。

 

と言うか、自分がこの回に憤っているのは、その真相云々のことじゃない。

自分がせっかく楽しんで見ていた作品が、誰だかしらんのお気持ち表明のために「利用された」ということ、だ。

 

この回が、原作にあるのかどうかは知らないし、

オリジナルだとしても、監督、脚本、プロデューサー、制作会社などなど、ストーリー制作に携わる人々の中の、誰がこれをねじ込んだのかはわからない。

ただ、その中の誰かがこの筋書きを提示し、それを周りの人間が、全世界に向けた電波に乗せることを承認したのは確実なわけだ。

それだけで、十分に共犯だ。

(※役者さん方やストーリー制作に絡まないスタッフさん方は、基本的には渡された脚本をそのままやる、ことが仕事であり、よっぽどのことでない限り、本筋を覆すようなことは出来ない、言うたら「駒」としての役割の方が強いので、考慮から外しています)

 

まあ、こんな露骨な脚本を作り上げる人たちだし、むしろ「全世界に我々の悲劇を知ってもらおう!」の方のノリだったのかもしれませんけれど。

それならそれで、がっつりそこをメインテーマにして別で作品を作ってくれよ。

毛色のちがう作品の中に、安易にねじ込むな。

日本に遊びに来たイタリア人をイタリアンに連れてっといて、「日本のイタリアンもなかなかでしょ?」と言っておいて、それでもどーーーーーしても日本食食わせたいからって、寿司持ち込むバカおるか?????

 

 

ムカポイント その2:作品テーマのガン無視

「遠回しな言い方ばっかりで謝罪をしない」

「ちゃんと謝罪がほしい」

「連中が謝罪する姿を見るまで死ねない」

おそらく、この回で制作陣は、この台詞を言わせたかったのだろう。

「凄惨な過去をもち、志半ばにして、老衰によって命を終えていく老婆」という、わかりやすく「かわいそう」な人に、これを言わせて憐れみを誘い、トドメに、善良で清い心持ちの主人公(しかも今が売り時の超イケメン役者)に、

「この悲劇を、僕たちは絶対に忘れません」

と言わせて、任務完了。

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視聴した、主人公と同世代の若者が「自分も」と思ってくれたら、完璧。

 

果たして、それはこの作品でやらなきゃいけないことなのだろうか。

 

確かに、拒食回やワンコ回など、展開が微妙だった回は他にもある。

だとしても、内容はちゃんと一貫していた。

「自殺志願者身近な悩みで生死の間の思考を彷徨う)に会って、その理由を突き止め、『本当は生きたい』という思いを掬い取り、思い留まらせる」

この流れはちゃんと踏んでいて、作品の主旨通りだった。現代を生きる我々に、国籍を問わず、訴えてくるものはちゃんとあった。

 

そんな中で、この回だけものすごく異質だ。浮いている、どころじゃ済まないレベルで浮いている。

それは、この回の目的=制作陣が見せたいものが、「自殺を救う物語」ではなく、ただの「日本への文句」だったからだ。

物語のスタートは、いつも通りだったけれど、割と序盤で、危管チームたちと老女の間で、自殺願望云々はどうでもよくなってしまっている。

 

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っていうかこの婆さん、ほんとに自殺なんて考えてたんか???

ってくらい、導入が薄い。

これまでの自殺志願者たちの壮絶さと比べたら、驚くほど緊張感がないし、自殺という究極の選択肢に対する意識が薄い。アプリに引っかかるくらいネガティブ度高いのに、ケロッとしてるし。

つまり、彼女の「死にたい」は、この回においては「道具」に過ぎず、決してメインイベントではないのだ。

それってすごい冒涜的じゃないです?これまでの回の志願者たち、もとい、現実的に自殺を考えるほど苦しんでいる人たちに対して、究極的に失礼だと感じるのは自分だけでしょうか。

(まあ、見た目だけじゃわかんねぇだろ、人それぞれだろって言われたら、それまでなんですけれども)

 

 

ムカポイント その3:全部雑

最大にイライラするのは、物語が、このお気持ち表明ばかりに重点を置きすぎているために、その他のことがすべて、かなり雑に構築されていることだ。

 

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お前だよ。

今回は、超悪い意味で。

 

いや、急に「あたし、ユニ!久しぶり!」とか言われても…………。

あの、伏線って知ってる???

まさか、引導チーム長との「あの時はお世話になりました!」「チーム長を世界一尊敬してます!」が伏線のつもりだったん?バカなん???

 

自分が脚本なら、彼女には最初から手袋かグローブをさせて、

ジュヌン「何でずっと手袋してんの?」

彼女「アッ…ちょっと今手荒れ酷くて〜アハハ〜」

ジュヌン「マジ?ハンドクリーム貸したろか?見せてみ?」

彼女「大丈夫です!!!!!」

みたいな下り入れるし(手か腕かに入れ墨あったよね)

ジュヌンと、寒いね〜とか言ってた時に、「昔お気に入りのマフラーがあって〜」みたいな話させたり、くらいはした。

王道でもベタでも、これが「伏線」ってモンでしょうよ。見え見えでもいいんだよ、別に謎解きがメインじゃないんだから。

つか、あのタイミングであのマフラーしてるの何なん?突然どっから出てきたん?空から降ってきたんか????

せめて、「前世で大事だったものを1つだけ保管しておける場所がある」みたいなトンデモ都合良し設定でも何でもいいから、影をさァ!影を!チラつかせろ!匂わせろ!嗅がせろ!

 

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ジュヌンも実は因縁がある、って話も、めちゃくちゃ唐突。

いっそ、ジュヌンがユニの生まれ変わりだったって方が、面白かったと思うんだけれど。むしろ自分は、途中までそうだと思ってたのに、悪い方向に裏切られました。

たぶん、彼を「ヒーロー」にしたかったんだろうナ~。まあ主人公ですし、善いヤツですし、今をときめくイケメンですしネ~。ハイハイ。

この後二度と登場しないし役に立つでもない、とってつけた感満載の設定。本当に必要だったか?

 

そんな感じで、全部雑。

伏線張る技術がないとかじゃなくて、そもそも張る気がないのが丸わかり。

そりゃそうだよね、だって大事なのはそこじゃないし。言いたいことさえ盛り込めれば、細かいことは別にどうでもいいんだよね。

 

視聴者ナメすぎ。

 

この一言に尽きます。

 

 

 

とりあえず思いつく限り、言語化できた不満は以上です。

いやぁ、創作物にここまで侮辱されたと感じたのは久々でした。日本人としてではなく、一視聴者として。

逆に、観といて良かったかもしれない。

 

展開があり得なさすぎたり、芝居が下手だったりで、駄作とか凡作とか、そういう言われ方をされる作品・回は、他にもあるでしょうけれど、

愚作と呼べるのはこのくらいじゃないと、という基準を教えてくれた貴重な回でした。

Netflixsでの再生回数がどのくらいなのかは知りませんが、炎上商法という意味では、成功しているのではないでしょうか。少なくとも、日本に於いては。

自分も、「慰安婦云々はあんまり気にせず~」と言いましたけれど、日本人じゃなかったら、ここまであれこれ鼻につかなかったかもしれませんね。

 

ま、もう二度と見ないので、どうでもいいです。

 

 

 

ところで、こんな不快感を全部丸ごとすっ飛ばしてくれる、素晴らしい作品を観終えたので、

次回はその感想を書こうと思います。