日常/非日常

びっくりするほど雑食

アニメ「呪術廻戦」感想(2期8話まで)

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ジャンプ作品って、何とな~く肌に合わなくて、ほとんど初手でリタイアしていたのですが、これだけは、今日まで追えています。

どこを見ても「覚悟しとけ」という諸先輩方の煽りしか見えてこない、大山場ならぬ、大地獄の渋谷事変アニメの、本格的な開幕を前に、

基本的にはアニメを通して得た、感想文…というより、いつも通りの「好き」をぶちまける場です。長いよ。

 

※アニメ放送済みの内容にはがんがん踏み込みます。

※一部、本誌最新話近辺に抵触します。核心的な記述は避けますが、お気を付けて。

 

 

虎杖悠仁、そして榎木くん

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(少年誌の主人公に、ここまで可愛いって思ったことないかも。可愛い、孫にしたい)

一見、よくいる少年主人公のように見えて、話を追っていくほど、深追いするほど、それっぽくないなぁと感じる。虎杖個人が、と言うより、この作品世界と虎杖とのバランスが。

まごうことなき善人なんだけれど、手放しで称賛できるかというと…っていう感じが、リアル。

この世に、“善性”というものはあっても、それはイコール“正解”ではないし、善人でありさえすれば全部OKというわけでもない、という、かなりシビアな現実を実感させられる。

 

言うたら、虎杖が絶対的にもつ「人を殺したくない」「全員助けたい」という気持ちも、善い心持ちなのは間違いないんだけれど、ちょっと見方を変えると、我儘で傲慢だと思う。そんなん、伏黒だって釘崎だって、先生だってナナミンだって、根っこの部分では思ってるに決まってる。でも、そこに固執していたら、本来できることもできない。

他の呪術師たちは、いい意味で(悔しいけれど)「限度」を弁えている。

虎杖は、「俺はまだまだ弱っちい」と自覚している割には、その「限度」を頑なに認めようとしない。五条先生にだってできないってのに。

でも、それだってしょうがない。この前まで、普通の一般人だったんだから。まだたったの15歳なんだから。

一方で、少年院以降、その「人を殺したくない」を、他人に強要することはしない(わざわざ話題には挙げない)辺り、「自分が全部助ければいい」みたいな、自己完結型のにおいがプンプンして、ますます危なっかしい。

 

そして、あなたですよ。榎木淳弥くん。

正直、自分がここまで虎杖に気持ちを寄せて、「どうか幸せになってくれ、お願いぃ…」と思ってしまうほど魅了されたのは、榎木くんの声あってこそだと思う。

ただ明るいだけじゃなくて、バカすぎず、カタすぎず、必要とあらば道化もするけれど、決して他人を不快にはさせない。(おそらく)キャラクター設定上の大前提である「誰からも好かれる」を、見事に表していると思う。

反対に、前述の、「ただただ善人、というだけではない」という感じも、榎木虎杖からは感じられる。たぶん、「虎杖、本当にいい子だよね!めっちゃ友達になりたい!」っていうマインドでは、やってないんじゃないかな~と。(※めっちゃ個人的な実感)

 

ここまでで特に好きなのは、やっぱり、VS真人初戦回。

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「ぶっ殺してやる」もだけれど、

「あの生活を捨ててまでこんなことしたかったのか?!」のところと、「宿儺ぁー!」からのところ。

あの、もはや“演技”と呼ぶのすら失礼なくらい、全力で叫んでいるのが、もう…めっちゃリピートしました。

 

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とにかく、ありがとう榎木くん。

これからどったんばったん曇り散らかすみたいだけれど、楽しm……ウン、たの…楽しみ…?にしてます…ハイ。

幸せになってぇ……。

 

 

五条悟という“人”

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(いつも思うんだけれど、髪こんなにしっかり立つって、この目隠しは針金でも入ってんのか???)

1期の時から、ちょっと異常なくらい人気だったけれど、中村さんがラジオで仰っていた、「まだ何もわからないのに、何故こんなに人気なのか、わからない」というのが正にそれで。

確かに強いけれど、1期の描写だけでは「ンまぁ…そうね」という程度の印象で(茈でおおっとは思った)人間性もまだまだ上辺しかわからなかったし。

 

だから、悔しい。

今、過去編を通して、彼の深みに気付いてしまったのが。

いや、あんなん知らされたら、もう1回1期観直すし、劇場版も観直すし、端々でめっちゃアンタのこと考えちゃうじゃん!悔しい〜〜〜!!!!

数ある2次元キャラクターの中でも、作劇の巧みさという部分において、屈指の名キャラクターなのでは、と思う。

 

過去編を通していちばん認識を改めたのが、「最強」の重み。

「五条悟 現着」(2期7話)

の言の重みたるや。この人がその場にいるかいないか、が状況に直結する。もはや、世界を背負って生きていると言っても過言じゃない。それも、毎日。

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「由緒正しき血筋のボンボンで、生まれた瞬間から世界の理を掌握していて、当たり前のように“呪術師の世界”で育ってきたからこそ、現在進行形で『最強』をやっていけてる」というネットでのご意見を見て、正にそれだなと思った。

それこそ、前述の虎杖、そして夏油とのちがいは、そこに起因するのだと思う。

必要最低限の、でも絶対的に必要な「取捨選択」。それができるからこそ、この重すぎる責務に耐えうる。

「最強」だから、あれもこれもそれも、全部救おう!俺ならできる!ネバーギブアップ!みたいな気持ちでは、いつか立ち行かなくなるし、最悪、自分にこんな重圧を課す「世界」を恨んでしまうようになるかもしれない。こんな力もったまま闇落ちなんかされたら、一瞬で世界終わるよね。

 

あと個人的には、彼が教師をしていることに、エモさみたいなものを感じる。

「ガキのお守りなんてぇ〜!」って口ひん曲げてたクソガキが、ひと回りほど下の子たちに「先生」と呼ばれる立場を、自ら選んでやってる…。「こんなところでフラフラしてていい人材じゃない」わけだし、呪術師一本で活動していた方が、本人も楽なはず。

それが、ねぇ。

しかも結構楽しそうだし、「僕の生徒たち」なんて言っちゃって可愛がってるし、何なら、現実世界にゴロゴロいる名ばかりの教師より、よっぽどいい先生してる。羨ましさすらある。

しかも、担当が1年生なのがまた……エモい…!(これ以上長いとうざいので、ここは省略)

 

 

10/10 追記(※最新の展開に言及します、お気を付けて)

どうも、第236話履修済みの自分です。

掲載からしばらく経てど、未だに風が収まらない界隈ですけれども。個人的にも、この回で、自分の中で積み上げていた、前述の「五条“先生”像」ジェンガが、横からどーんとなぎ倒されてしまったため、困惑しています。

基本的に、起こってしまったことはもうしょうがない、のマインドで生きているつもりなんですけれどもね~…なかなか心の整理がつかないことって、あるじゃないですか。

 

それによって、前述の内容に著しい乖離というか、解釈違いが生じてしまいまして。

ここに書くことで気持ちを整理したい気もするし、書き直そうかなと思ったのですが、

一応まだ余白はあるというか、「空白の1ヶ月間」がどう補完されるかで、また印象が変わるという余地もあるため、まだもう少し、待とうと思います。

 

 

最高の“悪”役

さーて、いちばん好きなキャラクターの話をするよ!

誰の話かって?はい、そうです、真人くんでーす!

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(今あの「じゅじゅさんぽ」サッカー回やったら、五連式リボルバーフェイクボレーしてくれるかもしれない)

「真人推しなんて、この世にいるの…?」とか言われてるみたいだけれど、ここにいるよー!ガハハハハ!

あ、推しだからと言って、彼の所業を肯定しているわけではないです。そこまで頭お花畑じゃないよ。良いキャラクターだよねって話。

ヤバい敵、エグい敵は、いろんな作品にいろんな形(含む物理)で出てきているけれど、彼が特別魅力的だったのは、それらとは明らかに一線を画しているからかもしれない。

 

悪役って、「悪」とは呼ぶけれど、「悪いことをしてやろう」だけで動いている人って、実は少ない。

大体は、彼らは彼らの主義主張や野望を通しているだけで、それが、主人公側とは利害が一致しなかったり、そのために暴力や非道徳的な手段に訴えるのが良くない、というパターンだ。

(宿儺役の諏訪部さんも、「悪役とは思ってやってない」と仰っていたし、基本的に役者さんはこの考え方でお芝居されているはず)

 

だからこそ彼は、「純粋悪」と呼べる。

彼は主義主張をもたないし、これといった強い野望もない。

けれどそれもそのはずで、なぜなら彼は、そもそもが「負の感情」を集めて、捏ね繰り回して生まれた生き物だからだ。いろんな人間が、いろんな経緯や感情を積み上げて生んだ「負の感情」を、その上澄みだけを拾い集めたのだから、彼の「負の感情」には理由がないし、原因もない。必要ともしない。だって、人間じゃないから。

「そういう生き物」としか言いようがない。

「人間に代わってこの世界を~」ってのも、そんなに真剣に取り組んでいるようには見えないし、

おそらく、行動理念なんてものもなくて、彼が動くのは、彼の中にある「負の感情」がそうと動かしているから、なんじゃないかとも思ったり。

 

人間の感情から生まれたくせに、全く人間らしくないし、でも人間を感覚的に理解しているし、ぶうたれたりはしゃいだりする姿は、人間の感情と似ている。

他の呪霊と比べると、ずっと人間らしい見た目をしている、かと思えば、とんでもないフォルムチェンジをしたりもする。

「人間っぽい」と「人間とは明らかにちがう」の間を反復横跳びする、本当に不可解な、ゲシュタルト崩壊を起こしそうなキャラクター。敵として、あまりにも魅力的すぎる。

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ぽんぽんと、おもちゃのように人間を扱う(結果、殺す)様が、「絶対に人を殺したくない」虎杖と対になるのも、面白い。

 

あとやっぱり、声によるキャラクター付けが良すぎる。たぶん、先に原作で読んでいたとしても、アニメで観て余計好きになってたと思う。

信長さん、すごい。

個人的に、あんまり悪役のイメージなくて、どちらかと言うと主人公側にいる印象が強かったので、キャスティングを知った時は意外だったんだけれど、第一声からスタンディングオベーションでした。

ありがとう、信長さん。お陰様で、真人くんがめっちゃ好きです。

 

あとあと、自閉円頓裹!大好き、キモすぎて。(※褒めてる)

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あとあとあと、その自閉円頓裹の劇伴がめっっっちゃくちゃ好き…!

 

 

OP良すぎ問題

特に、「廻廻奇譚」「青のすみか」が好き。

 


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「廻廻奇譚」は、この1曲だけで作品の自己紹介になるくらい、作品に合っている。「アニメのOP」としての役割を、十二分に果たしてくれていると思う。

疾走感はしっかりありつつ、変拍子やダークな雰囲気もある。ほんと、何食べてたら、こんな面白いメロディ進行思いつくんすか…?好きです。

 


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「青のすみか」は、どストレートに爽やかで煌めいていて、でもはっちゃけた明るさではなくて、それこそ、高校生以上くらいの爽やかさなのが、また絶妙。

それと、この曲に関しては、OPアニメとの相乗効果が本当に素晴らしい。個人的に、バトルもののOPによくある、「本編にありそうでないバトル描写のサビ」が大好きなので、高層ビルから落ちながら闘う五条と夏油の図は、いっそ楽しそうですらあるのも相まって、そこだけでも何度も観てる。

元々青色は好きだったけれど、これがあまりにも綺麗すぎて、ますます好きになった。

 

(ごめんけど、自分音楽に関しては酷い「スピード狂」なもので、特にポップスのバラードってよっぽど興味ないので、正直EDはあんまちゃんと聴いてない。ごめんよ。

でも、別に呪術だけがそうってわけじゃないから、セーフ。セーフじゃないけど。ごめんよ。)

 

で、最新の渋谷事変OP。


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曲は、ジャンプ作品のOPとは思えないほどダウナー系で面白いし、ひたすらオシャだし、前半(過去編)と真っ向から対比させた、終始赤すぎる画面も良い。作画なんか、もう自分なんかがどうこう言っていいレベルじゃないほど、ハイレベル。

 

のだけれど、1つだけ。

…………見せすぎじゃね………?とは思った。

 

数多の考察系()YouTuberさんたちが、「新OPを徹底考察!」みたいな動画出しているけれど、考察も何も、これ見りゃ7,8割って感じじゃないです?(というか、このOPに関する考察動画は、「考察」じゃなくて「解説」なのでは…?)

もちろん、ぼんやりではあるんだけれど、

「この人に何か起きるよ〜」

「この苦しんでる人は、あの人だよ〜」

みたいなのがてんこ盛りで、それ先に出しといちゃうんだ…とは思った。

 

まあでも、公式からの「準備運動しとけよ」ってメッセージなのかもしれない。

 

 


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長くなりましたが、今週分の放送には間に合わせたかったので、どうにか書き終えて満足です。本格的な“事変”、楽しみです。

冒頭の通り、「ジャンプ作品」に慣れていないもので、「ジャンプ作品の見方/楽しみ方」が間違っていないかなと、ちょっと不安。そういうところあったら、是非ご指摘ください。

 

ところで、実はもう1人、気になるキャラクターがいるんですよ。

登場はもっと先、言うたら3期になると思うんですが、出てきたら絶対自分好きになるだろうなって、謎の確信があります。原作は追えていないので、うっすら知ってる程度なんですが、それでも既に惹かれていますし。

推しと言うよりは、「おもしれー男」枠的な。声が誰になろうとも。

だからね、すごく楽しみです。登場が。

禪院直哉。